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- 西日本エリアにおける配送リードタイムの短縮
- 大規模自然災害が発生した際のBCP(事業継続性)拠点の確保
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- 全国翌日配送の実現およびBCP拠点確保のため短期間で福岡に物流拠点を開設
- 新たに発生した保管スペースのキャパシティ不足と欠品削減のため在庫管理ソリューションを導入
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- 全国一律の配送リードタイムを実現し、納期調整の稼動を削減
- 東日本大震災発生時BCP拠点としての機能を発揮
- 在庫の削減と共に、保管スペースと欠品の削減を達成
導入サービス | セキュリティ機器物流 / 在庫管理ソリューション
セキュリティ(防犯・警備)サービスの国内最大手であるセコム株式会社では、セキュリティ機器などの配送リードタイムを全国均一化するため、NTTロジスコの3PLサービスを導入し西日本エリアに初めて物流拠点を開設しました。さらに、在庫管理の効率化を目指して在庫管理ソリューションを導入。その背景や効果などを同社資材部の皆様にお話を伺いました。
セコム株式会社
資材部 部長
松本 憲一 氏
セコム株式会社
資材部 セコム物流センター
センター長
前野 和也 氏
セコム株式会社
資材部 セコム物流センター
担当課長
長迫 豊 氏
西日本エリアへのリードタイム短縮とBCPの観点から新しい物流拠点の開設が不可欠に
日本社会において「安全・安心」を求めるセキュリティ意識は年々高まりを見せ、セキュリティサービスのトップ企業であるセコム株式会社(以下、セコム)が担う役割も大きなものとなっています。同社は「あらゆる不安のない社会の実現」を使命に掲げ、これまで幅広いサービスを提供してきました。2017年に「セコムグループ2030年ビジョン」を策定し、暮らしや社会に安心を提供する社会インフラである「あんしんプラットフォーム」の実現に向けて事業に取り組んでいます。
同社資材部部長の松本憲一氏は、同社のビジネスの特性を踏まえ、物流が担う役割を語ります。
「セコムのサービスを提供する監視カメラなどの機器はお客様にお買い取りいただけるタイプも多くなっていますが、レンタルが主流です。機器は24時間365日、正常に動作することが必須であり、機器異常のトラブルなどが発生した場合は、速やかに交換しなければなりません。セコムの各事業所でも保守緊急用の在庫を持つようにはしていますが、物流センターから出庫しなければならないケースが多くあります。絶対に止めることができないサービスであるからこそ、機器を安定して速やかに供給する物流は、極めて重要な役割を担っています」
続けて、資材部の使命と業務内容に触れます。
「資材部のミッションは、セコムのサービスに欠かせない資材を最適なコストかつ適正な方法で調達し、供給することです。具体的には、機器や工事材料、制服などのさまざまな資材を調達し、全国の事業所などに最適なタイミングで供給することが業務となります。さらにそれらの資材については、物流センターおよび各事業所の在庫に至るまで資産管理を行っています。物流センターは、その中の供給業務を担当しています」(松本氏)
同社は2009年まで、メインの物流拠点であるFSセンター(神奈川県横浜市)と宮城物流センター(宮城県白石市)の2拠点で全国への配送をカバーしていましたが、新たな拠点を開設する必要に迫られていました。同社資材部セコム物流センターの長迫豊氏は、その背景を振り返ります。
「両拠点とも東日本に配置しているため、西日本への配送リードタイムがどうしても長くなっていました。特に九州へは中1日、地域によっては中2日かかっていました。当社は全国のお客様に均一なサービスを提供しているので、配送についても翌日配送に均一化する必要性を強く感じていました。また、BCPの観点からも、大規模災害が発生した際に既存の物流拠点をカバーできる体制が必要でした」
短期間で物流拠点を開設
さらに在庫適正化を目指して在庫管理ソリューションを導入
検討の結果、新しい物流センターの開設を担ったのは、NTTロジスコでした。同社資材部セコム物流センターの前野和也氏は、パートナー選定の理由を挙げます。
「2004年からNTTロジスコの倉庫を借りるという形で協業がスタートし、良好な信頼関係が築けていました。新しい物流センター開設については複数の企業から提案がありましたが、NTTロジスコの提案内容が最も我々の要望にフィットしており、コスト的にも納得がいくものでした」
前野氏らはNTTロジスコの福岡物流センターに足を運び、そこに新拠点を開設することを決定。2010年9月中旬を稼働開始のターゲットに定めました。
「新しい物流拠点を開設する場合、一般的には1年程度の期間を要しますが、福岡のケースは開設予定日まで実質半年を切っていました。既に稼働している施設を利用したことがスケジュール通りに開設できた大きな要因ですが、NTTロジスコの積極的な提案にも大いに助けられました」(前野氏)
同センターでは、開設当初250坪のスペースで保管と入出荷作業等を行っていましたが、機器の品目数増加に伴い、保管スペースのキャパシティが不足し、在庫の適正化を図ることが新たな課題として浮上してきました。同時に、福岡物流センターで保管している在庫に欠品がある場合は、横浜のFSセンターから航空便で配送しており、その削減も課題として発生していました。
「機器は主流がレンタル品であるため、お客様が使用されている限り、少量でもその在庫を保有しておく必要があります。それが品目数を減らせない主な理由です。従来は保有在庫の数量を担当者が経験・勘や実績値の帳票などで判断していましたが、業務負荷が大きい上に、人的ミスも起こり得ます。そこでNTTロジスコからの提案を受け、システムで在庫をコントロールして適正化を図る『在庫管理サービス』を導入しました」(前野氏)
配送リードタイム短縮に加え、BCPの効果を実感
在庫の削減による物流コストの削減や在庫管理業務の負荷軽減も実現
福岡物流センターは、中国・四国・九州向けの配送をカバー。西日本エリアへの配送リードタイム短縮の実現に加え、開設から僅か半年後の2011年3月の東日本大震災発生時には、BCPの側面で大きな役割を果たしました。
「震災の影響で宮城物流センターの機能がストップしたのですが、FSセンターと福岡物流センターの2拠点から全国への配送をカバーすることができました。もしその時点で福岡が開設して順調に稼働していなかったら、当社のサービスに大きな支障が出たでしょう」(長迫氏)
「在庫管理サービス」は、5カ月の試行期間を経て2012年7月から本格稼働し、約半年で具体的な導入効果が現れています。サービス試行以前と比較すると、在庫品目数が約1,200アイテムから1,700アイテムへと40%増加しているにもかかわらず、在庫数量は約115,000ピースから約70,000ピースに減少。
福岡物流センターの開設で新たに発生した課題であった欠品件数は、755件/月から378件/月と50%の削減となり、導入以前と比較すると横浜のFSセンターから西日本エリアへの航空便での配送コストは年間1,000万円以上の削減ができました。
さらに、2017年には在庫管理サービスをより効果的に利用する目的で、「見える化サービス」を導入。リアルタイムに在庫状況を把握できるだけでなく、KPI管理や社内資料の作成等にも活用されています。
長迫氏は、NTTロジスコの人材育成力や現場力の高さに触れ、将来的な施策を思い描きます。
「これまでのお付き合い通じて、NTTロジスコの物流業務は、NTTグループの優れた人材育成力によってもたらされた現場力がベースになっていると感じています。将来的には、当社もそのようなノウハウやカリキュラムを学べるような機会をつくれたらと思っています」
松本氏はNTTロジスコとの協業について、今後の展望を語ります。
「これからもセキュリティ事業は伸長が見込まれており、当社の事業展開に物流が果たす役割は、ますます大きくなるでしょう。新しい物流拠点の開設も視野に入れる必要があるかもしれません。社会情勢や自然環境は常に変化しますので、BCPの対策もその状況に応じて見直す必要があります。このような流れの中で、NTTロジスコには物流について相談に乗っていただくだけでなく、新しい提案をいただくことも期待しています。これからも“想いを共にする”重要なパートナーとして、手を携えて進んでいきたいと思っています」
社名 | セコム株式会社 |
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本社 | 東京都渋谷区神宮前1丁目5番1号 |
事業内容 | 1962年に日本で初めての警備保障会社として創業。企業向けセキュリティシステムに加え、1981年には国内初となるホームセキュリティシステムを発売し、現在は108万8000件の企業、149万7000件の家庭にサービスを提供している(2022年3月末現在)。 |
URL | https://www.secom.co.jp/ |
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